勤労学生控除

 学生であっても、アルバイトをして収入のある方は珍しくないと思います。在学中は、所得税と住民税の両方とも課税されない金額のアルバイト収入にしているという方も少なくないでしょう。

 しかし、年明けに前年中の源泉徴収票を集めて見たところ、年末調整されず源泉徴収されたままの所得税がある場合は、確定申告をすることにより還付を受けられる可能性があります。

 私自身、働きながら大学を卒業し大学院を修了したことから、参考書籍の購入代や文献のコピー代にいつも苦しめられておりました。例え還付税額が数千円であっても、使い道に困ることはありません。学生であれば、勤労学生控除の適用を受けられる可能性があります。また、源泉徴収票を合算した結果、確定申告納付の義務が生じていることも考えられ、注意が必要です。

 勤労学生控除とは、「居住者が勤労学生である場合には、その者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から27万円を控除する」もので、15種類ある所得控除のうちの一つです。

 また、勤労学生とは、「次に掲げる者で、自己の勤労に基づいて得た事業所得、給与所得、退職所得又は雑所得を有するもののうち、合計所得金額が75万円以下であり、かつ、合計所得金額のうち給与所得等(※)以外の所得に係る部分の金額が10万円以下であるもの」をいいます。

※ 給与所得等とは、自己の勤労に基づいて得た事業所得、給与所得、退職所得又は雑所得です。

 下記は、給与(賞与含む。)収入のみの場合を例に挙げておりますが、ウーバーイーツの配達による収入(所得)も「自己の勤労に基づいて得た」ものに該当します。

■ 給与(賞与含む。)収入のみの場合 ※ 被扶養者における扶養控除の適用なし

給与所得控除:55万円給与(賞与含む。)収入:130万円
勤労学生控除:27万円
基 礎 控除:48万円
・給与(賞与含む。)収入:130万円-給与所得控除55万円=合計所得金額75万円     
よって、勤労学生控除の適用は受けられます。また、課税される所得金額が0になるため、所得税は課税されません。                                       しかし、合計所得金額が48万円を超えることから被扶養者における扶養控除の適用は受けられません。            また、住民税は課税されることとなります。ただし、未成年者は給与収入204万4千円未満であれば非課税となります。                                

■ 給与(賞与含む。)収入のみの場合 ※ 被扶養者における扶養控除の適用あり

給与所得控除:55万円給与(賞与含む。)収入:103万円
勤労学生控除:27万円
基 礎 控除:48万円
課税される所得金額:103万円-55万円-48万円=▲27万円 ∴0円
・給与(賞与含む。)収入:103万円-給与所得控除55万円=合計所得金額48万円     
よって、勤労学生控除の適用は受けられますが、給与収入から控除しきれない金額が27万円であるため、節税効果は実質0です。                                       また、合計所得金額が48万円以下であることから被扶養者における扶養控除の適用も受けられます。
 しかし、住民税は東京23区を例に挙げれば、給与収入103万円-給与所得控除額55万円-勤労学生控除額26万円-基礎控除額43万円=▲21万円∴0のため所得割は課税されませんが、均等割は給与収入103万円-給与所得控除額55万円=48万円>住民税の非課税限度額45万円となり、課税されることとなります。ただし、未成年者は非課税となります。                                    

次に掲げる者

 1.学校教育法に規定する学校の学生、生徒又は児童

 2.国、地方公共団体又は私立学校法に規定する学校法人等の設置した専修学校又は各種学校の

  生徒で一定の課程を履修するもの

 3.職業訓練法人の行う認定職業訓練を受ける者で一定の課程を履修するもの

合計所得金額

 次の繰越控除総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額(※)

  ※ 申告分離課税の所得がある場合には、それらの所得金額(長期・短期譲渡所得については

   特別控除前の金額)の合計額を加算した金額です。

  • 純損失の繰越控除 
  • 雑損失の繰越控除
  • 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除
  • 特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除
  • 上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除
  • 特定投資株式に係る譲渡損失の繰越控除
  • 先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除

総所得金額

 次に掲げる金額の合計額(純損失等の繰越控除の金額)

 ・総合課税の利子所得の金額・配当所得の金額、不動産所得の金額、事業所得の金額、

 給与所得の金額、総合課税の短期譲渡所得の金額・雑所得の金額の合計額(損益通算後の金額)

 ・総合課税の長期譲渡所得の金額及び一時所得の金額(損益通算後の金額)の合計額の2分の1

上記は令和5年分の確定申告に適用される法令に基づいております。

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