借地権とは、民法の定めによるもの、借地法(旧法)の定めによるもの、
借地借家法(新法)の定めによるもののほか、
税法(所得税法・法人税法・相続税法)の定めによるものがあります。
民法における借地権
第265条(地上権の内容)
地上権者は、他人の土地において工作物又は竹林を所有するため、
その土地を使用する権利を有する。
※ 地上権は、用益物権であり、使用及び収益をすることができます。
第601条(賃貸借)
賃貸借とは、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、
相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び
引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、
その効力を生ずる。
第593条(使用貸借)
使用貸借は、当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、
相手方がその受け取った物について無償で使用及び収益をして
契約が終了したときに返還することを約することによって、
その効力が生ずる。
使用貸借について、さらに詳しく
第595条(借用物の費用の負担)
借主は、借用物の通常の必要費を負担する。
→ 固定資産税(程度)の負担は、必要費に該当する。
第597条(期間満了等による使用貸借の終了)
① 当事者が使用貸借の期間を定めたときは、
使用貸借は、その期間が満了することによって終了する。
② 当事者が使用貸借の期間を定めなかった場合において、
使用及び収益の目的を定めたときは、使用貸借は、
借主がその目的に従い使用及び収益を終えることによって終了する。
③ 使用貸借は、借主の死亡によって終了する。
→ 借主の死亡によって終了することから、相続財産に該当しない。
なお、貸主の死亡は、終了事由に該当しない。
第598条(使用貸借の解除)
① 貸主は、前条第二項に規定する場合において、
同項の目的に従い借主が使用及び貸借をするのに足りる期間を経過したときは、
契約の解除をすることができる。
② 当事者が使用貸借の期間並びに使用及び収益の目的を定めなかったときは、
貸主は、いつでも契約の解除をすることができる。
③ 借主は、いつでも契約の解除をすることができる。
旧借地法における借地権:平成4(1992)年7月31日以前の契約・更新
第1条(借地権の定義)・・・建物ノ所有ヲ目的トスル地上権及賃借権
建物の所有を目的とする地上権及び賃借権
借地借家法における借地権:平成4(1992)年8月1日以降の契約・更新
第2条(定義)・・・建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権
税法(所得税法、法人税法及び相続税法)における借地権
■ 所得税法
所得税法施行令 第79条
・・・建物若しくは構築物の所有を目的とする地上権若しくは賃借権
■ 法人税法
法人税法施行令
第137条・・・地上権又は土地の賃借権
第138条・・・建物又は構築物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権
■ 相続税法 財産評価基本通達9
・・・建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権(※)
※ 借地借家法(第2条第1号)と同じ
相続税・贈与税においては、借地権を次のとおり区分します。
また、借地権を評価する場合には、その権利の区分に応じ、
①を「借地権」、②~⑤を「定期借地権等」として評価します。
① 借地権(旧借地法、借地借家法(①から⑤までを除く。))
② 定期借地権(借地借家法第22条)
③ 事業用定期借地権等(借地借家法第23条)
④ 建物譲渡特約付借地権(借地借家法第24条)
⑤ 一時使用目的の借地権(借地借家法第25条)
借地権に関する留意点
地代のほか、更新時(更新の可否や更新料など)、返還時、譲渡時、贈与時・相続時において、地主(法人・個人)、借地人(法人・個人)、法人の借地人の株主のそれぞれの立場から権利関係・課税関係を確認する必要があります。